ロジャー・ウォーターズさんは、もちろんゴリゴリの左派で、戦争は全て悪辣な資本主義者が起こしたものであるという信念を持っている方であるのは以前から知られていましたが、昨今のウクライナへのロシアの一方的な軍事侵攻に関しても、悪いのはプーチンではなくて、バイデンとNATOだと全面的に主張して呆れられています。
今度は、ローリングストーン誌のインタビューで、自分は「ウクライナの敵」として「ウクライナ政府が公認する、殺人リストに載せられた」とおっしゃってます。
「忘れてはいけないのは、オレはウクライナ政府によって支援されている殺害リストに載っているということだ!」と言い、さらにウクライナの最前線からのニュース報道は(少なくとも一部は)「西側のプロパガンダ」だとも主張しています。
このサイトは、ウクライナのNGOが運営する「ミロトボレッツ」という有名なサイトで、ウクライナ政府に批判的な人々の名前約18万7000人とその自宅住所、電話番号、連絡先などを掲載しているとされるもの。サイト側は、活動の目的は「最終的にウクライナに平和と調和をもたらすために、行政当局に情報の提供とアドバイスを行うことである」と言ってはいますが、ジャーナリストの住所を掲載したり、過去にはロシア寄りの議員や作家の住所を公表して、その人たちが暗殺されたりという事件も起こしています。
元ドイツ首相のゲアハルト・シュレーダーさんや、元米国務長官のヘンリー・キッシンジャーも、ロシア寄りの発言をしただけで掲載され、ドイツなどから閉鎖するように抗議を受けたサイトです。
実は、ウォーターズさんは、以前にも「クリミアはほとんどロシアに権利がある」と主要して、掲載されているようですね。
しかし、今回は<This Is Not A Drill>ツアーで「ジョー・バイデンは戦争犯罪者だ!」と主張し、あいつは戦争を煽っていて、ゼレンスキーにロシアと交渉するように脅しをかけないのは「戦争犯罪」にほかならない!と主張していることについて、CNNにコメントしたことが発端で、殺人リストに載せられたという話のようです。
ウォーターズさんは、CNNの司会者マイケル・スマーコニッシュに「この戦争は基本的に、NATOがロシア国境まで押し寄せたことによる当然の反応だ!そもそもゴルバチョフが東欧全体からソ連を撤退させる交渉をしたときに、彼らはそうしないと約束したのだ」と述べました。
ウクライナの大統領夫人オレナ・ゼレンスカに宛てた「公開書簡」で、ウォーターズさんは、ウクライナの「極端な民族主義者」が「あなたの国をこの悲惨な戦争への道に導いた」と言い。「あんたの夫のゼレンスキーがドンバス地方に平和をもたらすという選挙キャンペーンでの約束を果たしていなかったのが悪い!」と非難しましたね。
もちろん、夫人からは「ウクライナの街を破壊し、市民を殺しているのはロシアの侵攻だ!ロジャー・ウォーターズ、あなたは他国の大統領に平和を求めるべきよ!」と返されましたけど。
もちろん、今のゼレンスキー大統領以前から、ウクライナという国は、ネオナチに共鳴する強烈な右翼や民族主義者がいたのも事実ですし、アメリカの巨大な軍種産業が、この侵攻を兵器をどんどん売るための好機と捉えていない・・などいうつもりはありません。
民主党の中でも保守的な立場で、軍需産業からも大いに献金を受けていそうな、ジョー・バイデンおじいちゃんが、プーチンが侵攻を始めたとたん「第3次世界大戦は絶対起こさない!」と宣言しちゃって、プーチンに対して絶対直接攻撃をしない保証を与えておいて、今度は武器をどんどんウクライナに渡す・・・逆に戦争を長引かせるような判断をしていることも、「誰の意向なんだ?」疑えば疑えると思います。
しかし、それにしてもウォーターズさんの主張でおかしいのは、頭のおかしい独裁者であることは間違いない、プーチンへの批判がないことです。
ウクライナが殺人リストを公開したり、ジャーナリストを危険に晒したりしたしていても、「真の愛国者とクズ野郎や裏切り者は区別できる。裏切り者は口に飛びこんだハエのように吐き出せば済む。自浄のみがロシアを強くする」と演説して、反対派、ジャーナリスト、国民を次々粛清しているプーチンの犯罪的な行為にくらべれば、屁みたいなものでしかないと思いますが・・・この人にとってはそれさえも西側のプロパガンダだということでしょうか?
世界でここまでプーチンを擁護しているのは、プーチンが当選させてくれたトランプ元大統領とロジャーさんくらいなものんでしょう。
だいたい、この人は「戦争を回避するために、ウクライナはロシアの支配下にはいればいいのだ」と思っているようですが、キチガイプーチンに支配される方の気持ちになったことは微塵もないのでしょう。
ロジャー・ウォーターズ79歳。ボケ始めたと言うことかもしれませんが(人間はボケると、自分が若かった頃の世界観が常識で、その後変わった世界のことは忘れる傾向があるので、東西冷戦のさなかに頭が戻ってしまったのか?)、ともかく、ロシアの侵攻が始まるとすぐに、ウクライナへの支持を表明し、弾圧されたロシアの民主派バンドなどともコラボして新曲を出したギルモアさんの方が、ずっとまともな人であるのは間違いないと思います。(笑)